
仕事と育児の両立で奮闘する「共働き・共育て」世代の声に耳を傾ける
現代の日本社会では、共働きや共育てが一般的になりつつあります。しかし、その中で働く親たちは、仕事と家族の両立という複雑な課題に直面しています。光文社の新書『共働き・共育て 世代の本音 新しいキャリア観が社会を変える』は、そんな「共働き・共育て」世代の実態と、彼ら彼女らの胸の内を赤裸々に語った一冊です。
「ワーキングペアレンツ」の実態
著者であるジャーナリストの川内博史氏は、共働き・共育て世代を「ワーキングペアレンツ」と呼びます。本書では、彼らの置かれている状況を丹念に取材し、その実態を明らかにしています。
多くのワーキングペアレンツは、時間不足や経済的なプレッシャーに悩んでいます。特に、長時間労働や夜勤などの非正規雇用の親にとって、育児と仕事の両立は困難を極めます。また、職場では「母親だから」「父親だから」と能力を過小評価されたり、昇進機会が制限されたりするケースも少なくありません。
キャリア観の変化
ワーキングペアレンツの悩みは、単に個人の問題ではありません。それは、日本の雇用慣行や社会制度そのものの問題を映し出しています。本書では、ワーキングペアレンツの経験を踏まえ、日本の働き方やキャリア観が大きく変化していることが浮き彫りになります。
従来の終身雇用・年功序列型のキャリア観では、長時間労働や職場への絶対服従が当たり前とされてきました。しかし、ワーキングペアレンツは、仕事と家族の時間を両立させるために、柔軟な働き方やワークライフバランスを重視するようになっています。
「新しいキャリア観」への期待
ワーキングペアレンツのニーズに応えるには、社会の側も変わることが求められます。本書では、著者自身が政府の有識者会議に参加した経験を踏まえ、次のような「新しいキャリア観」の実現に向けた提言を行います。
* 柔軟な働き方の普及
* 育児休暇や短時間勤務制度の拡充
* 企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進
* 政府による支援策の充実
社会を変える「ワーキングペアレンツ」の力
本書は、単なるワーキングペアレンツの悲痛な叫びではありません。彼ら彼女らは、自分たちの経験を社会に発信し、より働きやすく、子育てしやすい社会の実現を目指しています。
著者によると、ワーキングペアレンツは「社会的リテラシー」が高く、自分の権利を主張する能力に長けています。彼らは、自分たちだけでなく、これからの世代の親たちのために、積極的に声を上げているのです。
『共働き・共育て 世代の本音』は、ワーキングペアレンツの苦悩と社会を変えようとする彼らの強い思いが込められた一冊です。仕事と育児の両立を目指す方、日本の働き方や社会制度に興味のある方、そしてこれからの社会を考えるすべての方に、ぜひ読んでいただきたい本です。
本の内容
* 第1章 ワーキングペアレンツの現実
* 第2章 職場におけるジレンマ
* 第3章 「新しいキャリア観」への期待
* 第4章 ワーキングペアレンツの社会参加
* 第5章 ワーキングペアレンツの未来
著者紹介
川内博史(かわうち ひろし)
ジャーナリスト。中央公論新社在籍中に週刊誌『AERA』の編集長を務める。現在はフリーランスとして執筆、講演など多方面で活躍。著書に『保育園落ちた日本』『教育格差』などがある。
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