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「夜の街」の闇と光を照らす必読書:『日本水商売協会 ―コロナ禍の「夜の街」を支えて』



「夜の街」という言葉が持つイメージは、華やかさの裏に潜む闇やいかがわしさを連想させるかもしれません。しかし、コロナ禍という未曾有の危機が、そのイメージを大きく揺るがしました。

『日本水商休協会 ―コロナ禍の「夜の街」を支えて』(ちくま新書)は、そんな「夜の街」の苦境を目の当たりにし、その存続のために奮闘する人々の姿を描いたノンフィクションです。

「夜の街」の苦悩と葛藤

コロナ禍で営業自粛を余儀なくされた飲食店や風俗店などは、甚大な被害を受けました。なかでも「夜の街」は、その規模の小ささや営業形態の特殊さから、政府の支援が十分に届きませんでした。

本書では、そうした苦境にあえぐ水商売関係者たちの切実な声が綴られています。売り上げが激減し、家賃や従業員の給料の支払いに窮する店主。営業を再開したいのに客足が戻らず、生活に困窮する従業員。

彼らの苦悩は、単なる経済問題ではありません。水商売は、単なる仕事ではなく、人間関係や生きがいを提供する場でもあります。その喪失は、人々の心に深い傷を残しました。

奮闘する水商休協会

そんな「夜の街」を支えようと立ち上がったのが、日本水商休協会です。本書では、協会の会長を務める大久保貴光氏をはじめとする幹部たちの奮闘が克明に描かれています。

大久保氏は、水商売業界の現状を政府に訴え、支援策の拡充を働きかけました。また、生活に困窮する水商売関係者に対する相談窓口や支援金の支給などの活動を行いました。

彼らの努力により、政府はようやく水商休協会に補助金を支給することを決定。協会はそれを、業界の支援に充てました。

「夜の街」の未来への希望

本書は、「夜の街」の苦難を描きながらも、その未来への希望も示しています。

コロナ危機を経て、水商休協会は政府とのパイプを築き、業界の地位向上に努めています。また、水商売関係者に対する偏見や差別をなくすための啓発活動も行っています。

さらに、コロナ禍で生まれた新しい営業形態やビジネスモデルが、業界の活性化につながる可能性も秘めています。

必読の理由

『日本水商休協会 ―コロナ禍の「夜の街」を支えて』は、単に水商売業界のドキュメンタリーにとどまりません。それは、危機に瀕した産業が、団結と創意工夫によって逆境を乗り越えていく、人間の強さと希望の物語です。

また、本書はコロナ禍における日本の社会問題を浮き彫りにします。多様な働き方や生き方を尊重する社会の実現に向けて、私たちは何をすべきなのかを考えるきっかけを与えてくれます。

「夜の街」を支える人々の姿に心を打たれ、その未来に希望を抱きたいすべての人に、ぜひ本書をおすすめします。
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