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終身刑の闇に迫る:目から鱗の論考集「終身刑を考える」



死刑廃止国際条約が発効された2009年以来、日本国内でも死刑制度存廃をめぐる議論が活発化しています。その中で、終身刑が果たす役割やその実態も改めて注目されています。

2001年に刊行された「終身刑を考える」は、終身刑制度のあり方について多角的な視点から考察した画期的な論考集です。十数名の法学者や実務家が執筆した論文は、終身刑の意義、制度的・運用上の問題点、刑罰としての妥当性など、終身刑をめぐるさまざまな論点を網羅しています。

終身刑の意義と問題点

本書はまず、終身刑が持つ「更生可能性の剥奪」という重大な意味合いを指摘しています。終身刑は、受刑者の更生を期待せず、社会から隔離することを目的とした刑罰です。しかし、この理念は、受刑者の尊厳や更生の可能性を軽視しているという批判があります。

また、本書は終身刑の運用上の問題点も明らかにしています。例えば、終身刑の判決が死刑判決に比べて恣意的であること、無期懲役刑との差異が不明確であること、再審が困難であることなどが問題として挙げられています。

刑罰としての妥当性

さらに、本書は終身刑が刑罰として妥当かどうかについても考察しています。受刑者に無期懲役刑を科すことは、復讐や見せしめではなく、犯罪の抑止や更生を図るものです。しかし、終身刑はこれらの目的を達成する上で有効なのかどうかが問われています。

本書の執筆者らは、終身刑が犯罪抑止効果を持たず、むしろ死刑以上に非人道的であると主張しています。また、終身刑が受刑者の更生を妨げており、長期収監による精神的・肉体的苦痛は計り知れないとも指摘しています。

終身刑から無期懲役に

本書は、終身刑制度を廃止し、無期懲役刑に一本化すべきだと提唱しています。無期懲役刑は、受刑者の更生可能性を否定しませんが、終身刑のような絶対的な隔離を課さない刑罰です。

執筆者らは、無期懲役刑の導入により、終身刑の恣意性や死刑との不均衡が解消され、また、再審や恩赦の可能性が拡大すると主張しています。さらに、無期懲役刑は終身刑に比べ人道的であり、受刑者の尊厳を尊重できるとされています。

日本における死刑制度存廃議論への示唆

本書は、終身刑制度に対する鋭い批判と無期懲役刑への代替案を提示することで、死刑制度存廃議論にも重要な示唆を与えています。死刑よりも人道的とされる終身刑が、実は死刑に劣らず深刻な問題を抱えていることが明らかになったのです。

本書が刊行されてから20年以上が経過しましたが、終身刑制度をめぐる議論は依然として続いています。本書は、死刑制度や終身刑について深く考える上で不可欠な必読書であり、刑罰制度のあり方を再考する契機となるはずです。

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「終身刑を考える」の詳細は、下記のサイトからご確認いただけます。

* Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4871120520
* 紀伊國屋書店: https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784871120526

終身刑の闇に迫り、刑罰制度のあり方について考えを深めたい方は、ぜひ本書をお手に取ってみてください。
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