
テポドン:大阪ミナミの「夜」の歴史を変えた暴れん坊
戦後の混乱と閉塞感の中で、1950年代の大阪ミナミは、闇市が溢れ、ギャングが跋扈する無法地帯となっていた。そんな中、ミナミの夜に轟く、その名を「テポドン」という暴れん坊の頭目が現れた。
波乱の生い立ち
1936年、大阪府の泉大津市に生まれた寺岡孝。通称「テポドン」。10代の頃、地元の不良グループに入り、喧嘩や恐喝に明け暮れた。しかし、18歳のとき、兄が暴走族の抗争で命を落とすという悲劇に見舞われる。
兄の死後、テポドンは一念発起し、ミナミに進出。闇市で用心棒稼業を始めた。その強さと度胸でたちまち頭角を現し、20代後半には、ミナミを牛耳る「テポドン組」を結成した。
ミナミの夜を支配
テポドン組は、ミナミの料亭やキャバレー、パチンコ屋などを縄張りとし、用心棒代を徴収する一方、みかじめ料を取らない弱みを保護するという独特のスタイルで勢力を拡大していった。
テポドンは、喧嘩っ早さと義理堅さから「ミナミの親分」と慕われ、ミナミの夜を支配した。しかし、その一方で、暴力団の抗争に巻き込まれ、負傷することも度々あった。
抗争の勃発
1970年代に入ると、ミナミで勢力を争う暴力団との抗争が激化。1975年、テポドンはライバル組の組長を射殺するという事件を起こす。この事件を機に、テポドン組とライバル組との間で全面戦争が勃発した。
抗争は熾烈を極め、ミナミの街は戦場と化した。テポドンは、自らの命を懸けて、組を守り抜いたが、1976年2月14日、ライバル組の襲撃を受け、壮絶な死を遂げた。享年40歳だった。
時代の象徴
テポドンは、戦後の混乱期に現れた大阪ミナミの象徴的な人物である。その暴力性と義理堅さは、当時の社会の闇と光を映し出している。
テポドンの一代記を描いたノンフィクション『テポドン』は、大阪ミナミの裏社会の歴史を垣間見ることができる貴重な資料である。闇市がひしめく混沌とした街から、近代的な歓楽街へと変貌を遂げていくミナミの「夜」を、テポドンの生涯を通じて余すことなく描き出している。
本書を読むことで、戦後日本の闇と光、そして時代を動かした一人の男の生き様を垣間見ることができるだろう。大阪ミナミの夜の歴史に興味がある方、あるいは激動の時代を生き抜いた人間ドラマに興味がある方は、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。
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