
常紋トンネルの闇に潜む、衝撃のミステリー
表題常紋トンネル (朝日文庫 こ 13-1)
著者: 三上 延
あらすじ:
北海道の常紋トンネルで、無残な遺体が発見された。被害者は、地元の運送会社社長・高見沢信行だった。当初は単なる交通事故と思われたが、捜査を進めるうち、不穏な事実が明らかになっていく。
高見沢は、過去にトンネル工事で労働者の死亡事故に関与していた。さらに、彼の会社には多額の借金があり、裏社会とのつながりも疑われていた。
そして、捜査の過程で、高見沢の妻・美咲がトンネル内で不審な行動をとっていたことが判明する。彼女は事故当時、トンネルを走行しており、夫の車とすれ違ったという。
やがて、事件は複雑怪奇な様相を呈していく。謎の失踪、不可解な証言、錯綜した人間関係。そして、トンネルの暗闇に潜む、深い怨恨が浮かび上がる。
著者三上延の真骨頂:
本書の著者である三上延は、ミステリー界の重鎮として知られるベテラン作家だ。読者を翻弄する巧妙なトリック、緻密に張り巡らされた伏線、そして人間の闇をえぐる鋭い筆致で高く評価されている。
表題常紋トンネルでも、三上延の真骨頂が余すところなく発揮されている。複雑に絡み合った事件の展開に翻弄され、気が付けば一気読みしてしまうだろう。
圧倒的な臨場感:
本作の舞台となる常紋トンネルは、北海道の北部に実在する全長約5kmのトンネルだ。三上延は、このトンネルの薄暗い空間や、その周辺の荒涼とした自然を丹念に描写することで、圧倒的な臨場感を作り出している。
読者は、まるでトンネルの中に迷い込んだかのように、登場人物たちの息遣いや恐怖を肌で感じることができる。
人間の闇を抉る:
表題常紋トンネルは、単なるミステリーにとどまらない。事故の裏に隠された人間の闇や、欲望、怨念を容赦なく抉り出している。
登場人物たちは、それぞれに秘密や弱みを抱え、追い詰められていく。彼らの葛藤や苦悩が、物語にさらなる深みを与えている。
読み終えた後も余韻が残る:
表題常紋トンネルを読み終えた後も、その余韻は長く読者の心に残り続けるだろう。事件の真犯人や、その動機が明らかになっても、人間の闇の深さ、そして、隠された真実の重さを考えずにはいられない。
三上延の巧みな筆致と、人間の心の深い洞察によって、表題常紋トンネルは読者に忘れられない読書体験をもたらしてくれる傑作ミステリーだ。
ぜひ、手に取って、常紋トンネルの闇に潜む衝撃の真実を体験してほしい。
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