
新説 徳川家康 (光文社新書 1280)
表題新説 徳川家康:日本の歴史に刻まれた知将の真意を探る徳川家康は、日本の戦国時代を終わらせ、江戸幕府を開いた、稀代の英雄です。彼の生涯は多くの小説やドラマの題材となり、その存在感は人々に広く知られています。しかし、彼の真意やその功績については、いまだ謎に包まれた部分も多くあります。
この『表題新説 徳川家康』は、そんな徳川家康の謎に迫る、画期的な一冊です。著者は、歴史家として高い評価を受ける小和田哲男氏。史料を丹念に読み込み、これまでの研究成果を踏まえ、家康の生涯を独自の視点から考察しています。
本書の特徴は、単なる伝記ではなく、家康の「表題」に注目している点です。表題とは、手紙や文書に記される、自分の官職や身分を表す肩書きのこと。家康は、生涯を通じて実に20以上もの表題を名乗っており、その変遷から、彼の政治的思惑や意図を窺い知ることができます。
小和田氏は、これらの表題を徹底的に分析し、家康の「変幻自在の表題戦略」を明らかにしています。たとえば、他者に臣従する立場を示す表題を用いて権力を掌握したり、逆に上位の官職を名乗って優位に立とうとしたり。家康はこうした表題を巧みに使い分け、戦局を有利に導いていったのです。
また、本書では家康の人間性にも迫っています。冷酷な権力者というイメージが強い家康ですが、小和田氏は史料に基づき、彼の思いやりや気遣い、さらに信仰心にも言及。そこには、従来の常識を覆す、新たな家康像が浮かび上がります。
さらに、本書では家康の史観についても考察。江戸幕府によってつくられた、家康を賞賛する「家康神格化」が、その後の日本史に与えた影響を明らかにしています。家康の功績を客観的に評価し、その真意を理解するには、こうした史観のフィルターを外す必要があることを指摘しています。
本書は、単なる歴史書ではありません。家康の生涯を通じて、人間の権力欲や野心、そしてリーダーシップのあり方など、普遍的なテーマを考えさせられます。戦国時代という激動の時代を生き抜いた一人の知将の生き様から、現代に生きる私たちも多くのことを学ぶことができるでしょう。
本書の要点
* 20以上の表題を使い分けた家康の「表題戦略」を明らかに
* 従来のイメージを覆す、思いやりや信仰心のあった家康の実像
* 江戸幕府による「家康神格化」がもたらした歴史的影響
* 徳川家康の生涯を通じて、権力欲やリーダーシップのあり方を探る
こんな人におすすめ
* 徳川家康に興味のある人
* 戦国時代や日本の歴史を学びたい人
* 人間の人間心理や権力構造に関心のある人
* リーダーシップや組織運営について考察したい人
購入したい方へ
本書は、光文社新書(1280円)より発売中です。全国の書店、またはオンライン書店にてお求めいただけます。この本を読んで、日本の歴史に刻まれた知将の真意を探り、現代に生きる私たちにも通じる普遍的なテーマについて考えてみませんか。
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