
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版
熔ける:大王製紙前会長・井川意高の懺悔録 増補完全版企業統治のスキャンダルと一人の経営者の決断
2011年、日本の企業界を震撼させた大王製紙の粉飾決算スキャンダル。その渦中にいた前会長・井川意高氏による胸をえぐる懺悔録が、増補完全版として出版されました。
本書では、井川氏が自らの経営哲学や企業統治の失敗を赤裸々に告白しています。大企業の経営陣だけでなく、ビジネスパーソン、社会人すべてに必読の書といえます。
スキャンダルのきっかけとなった粉飾決算
大王製紙の粉飾決算は、経営不振を隠蔽するために2003年から2010年まで行われてきました。主な手口は、不良資産の損失を先延ばしにした「繰延資産の計上」と、収益を前倒し計上する「リース取引の繰り上げ計上」でした。
井川氏は、これらの粉飾行為を認識していながら、是正せず、さらなる粉飾を指示していました。その動機は、経営不振を隠蔽し、株価や経営陣の評価を維持するためでした。
企業統治と経営者の責任
大王製紙のスキャンダルは、企業統治の不全を浮き彫りにしました。経営陣が粉飾決算を主導し、社内統制が機能していなかったのです。
井川氏は、経営者の責任の重さを痛感し、経営陣の自己規制の重要性を説いています。経営陣は、利益最優先ではなく、企業の社会的責任を重視し、利害関係者の信頼を得る必要があります。
苦渋に満ちた決断の瞬間
粉飾決算が発覚したとき、井川氏は苦渋の決断を迫られました。事実を隠蔽し、自分の地位を守ることもできたはずです。しかし、彼は良心に従い、真実を明らかにすることを選びました。
この決断は、井川氏の経営者としての誇りと、社会に対する責任感の表れでした。彼は、自らの罪を償い、二度とこのような過ちを繰り返さないことを誓っています。
増補完全版の意義
増補完全版では、スキャンダル発覚後の井川氏の裁判や反省などが追加されています。これにより、スキャンダルの全容がさらに明らかになり、井川氏の心の葛藤がより鮮明に伝わってきます。
また、本書のまえがきには、元東京地検特捜部長の若狭勝氏が執筆しています。若狭氏は、大王製紙事件の捜査を指揮した人物であり、スキャンダルの内幕を熟知しています。
社会人、ビジネスパーソン必読の書
本書は、単なるスキャンダル暴露本ではありません。企業統治のあり方、経営者の責任、倫理観の重要性など、現代社会の根源的な問題を考えさせられます。
大企業の経営陣だけでなく、すべてのビジネスパーソン、社会人に読んでいただきたい一冊です。井川意高氏の懺悔録を通して、私たちは過去の過ちから学び、より健全な企業社会を築くための教訓を得ることができるでしょう。
目次
* まえがき(若狭勝)
* プロローグ:真実への道
* 第一章:大王製紙と私
* 第二章:粉飾の始まり
* 第三章:深みにはまる
* 第四章:決断の瞬間
* 第五章:明らかになる真実
* 第六章:法廷での対決
* 終章:懺悔と贖罪
* 増補:スキャンダル後の日々
著者プロフィール
井川意高(いかわい たかよし)
1941年生まれ。東大法学部卒業後、大王製紙に入社。会長、社長などを歴任。2011年、粉飾決算事件により逮捕。2013年、懲役4年の実刑判決を受ける。現在は、社会貢献活動に注力している。
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