疎開教師20歳の日記: 昭和19年8月~20年3月

表題疎開教師20歳の日記：戦争末期の現実を垣間見る

戦争の影が濃くなる中、20歳の若き教師が故郷を離れ、疎開先で綴った日記。この「表題疎開教師20歳の日記：昭和19年8月~20年3月」は、戦時下の庶民生活や戦況の激化をありのままに記録した貴重な歴史資料である。

若き教師の疎開

主人公の女性教師・高澤としは、愛知県半田市から岐阜県揖斐郡に疎開した。彼女の赴いたのは、小さな村落の尋常小学校。戦争の最前線からは遠く離れていたとはいえ、戦況の緊迫感は村にも漂っていた。

戦時下の日常

日記には、疎開先の日常が克明に綴られている。国民学校での勤務、村人の交流、食糧不足に苦しむ生活。国民学校では、戦争教育が徹底されており、生徒たちは「必勝」を唱和し、竹やりの訓練を行っていた。

しかし、としは戦争の愚かさや悲惨さを痛感するようになる。近隣の村が空襲を受け、多くの犠牲者が出たことを知ったときには、「戦争はいけない」と日記に記している。

戦況の激化

1945年の終盤、戦況は急速に悪化していく。としは、村の防空壕で空襲をやり過ごす日々を過ごす。日記には、敵機の音や爆撃の恐怖、死の影と対峙する人々の姿が描かれている。

そしてついに、終戦の日が訪れる。日記には、敗戦の衝撃と戦争の終結に対する喜びが同時に綴られている。

日記の意義

この日記は、戦争末期の庶民生活をリアルに伝えた貴重な史料である。戦時体制下での人々の思考や感情、戦争に対する葛藤などを垣間見ることができる。また、若き教師の視点から描かれた戦時下の教育や村落社会の描写は、戦争の全体像を理解する上で極めて重要である。

戦争を知らない世代へ

「表題疎開教師20歳の日記」は、戦争を知らない世代にも必読の書である。戦争の悲惨さ、愚かさ、そして平和の尊さを改めて認識させてくれる。日記を通して、過去の過ちを繰り返さず、平和な未来を築くことの大切さを学ぶことができるだろう。

著者・高澤とし

本書の著者・高澤としは、1924年に愛知県半田市で誕生。地元の師範学校を卒業後、小学校教員となる。戦時中は岐阜県に疎開し、終戦後は教師を続けながら日記を書き続けた。本書に収録された日記は、戦時中を通して書かれたもののうち、一部が抜粋されている。

詳細

* タイトル：表題疎開教師20歳の日記：昭和19年8月~20年3月
* 著者：高澤とし
* 発行：柏書房
* 発売日：2018年8月
* ページ数：272ページ
* 価格：1,980円（税込）

この本を手に取り、戦争末期の現実を垣間見てみませんか。日記を通して、戦時下の庶民の苦悩と希望、そして平和の尊さを実感することができます。
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