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大滝詠一レコーディング・ダイアリー Vol.3:時空を超え、音楽の航跡をたどる



音楽界の巨匠、大滝詠一が遺した貴重な証言を収録した『大滝詠一レコーディング・ダイアリー Vol.3 1983-1985』がリットーミュージックより待望の発売を迎えた。

このシリーズ3作目となる本書は、1983年から1985年という、大滝詠一にとって重要な時代を網羅している。この期間、大滝は代表作『EACH TIME』や『NIAGARA CALENDAR』を世に送り出し、日本の音楽シーンに新たな地平を切り拓いた。

本書では、大滝詠一自身の詳細なレコーディング・メモを元に、各曲の制作過程を追体験することができる。音作りやアレンジ、歌詞へのこだわりなど、大滝詠一の音楽に対する並々ならぬ情熱と卓越した創造力が余すところなく明かされている。

『EACH TIME』の誕生:ポップの金字塔

1984年にリリースされた『EACH TIME』は、大滝詠一の最高傑作の一つと評される。本書では、このアルバムの1曲1曲のレコーディング過程が丹念に記されている。

「夢で逢えたら」の爽やかなボーカルや「君は天然色」の洗練されたアレンジなど、名曲の誕生秘話に迫ることができる。大滝詠一の音楽に対する徹底した追求が、どのように名作を生み出したのかを垣間見ることができるだろう。

『NIAGARA CALENDAR』:シティ・ポップの頂点

『EACH TIME』に続く『NIAGARA CALENDAR』は、シティ・ポップを代表する名盤だ。本書では、このアルバムの制作過程だけでなく、大滝詠一の音楽性に大きな影響を与えたアメリカ音楽との関わりについても触れられている。

「恋するカレン」の軽やかなリズムや「さらばシベリア鉄道」の郷愁を誘うメロディーなど、大滝詠一の音楽的ルーツを辿りながら、シティ・ポップの真髄を理解することができる。

ミュージシャンとの対話:名演の裏側

本書の魅力の一つは、大滝詠一が共演したミュージシャンとの対話も収録されていることだ。山下達郎、伊藤銀次、村松邦男、松原正樹など、日本の音楽シーンを彩る名手たちが、大滝詠一とのレコーディング体験を振り返っている。

大物ミュージシャン同士が音楽を巡って交わす会話からは、名演の裏側に隠されたエピソードや、大滝詠一の音楽に対する姿勢など、貴重な情報が満載だ。

大滝詠一の音楽哲学:時空を超えた響き

大滝詠一は、単なるミュージシャンではなく、音楽そのものの本質を追求した哲学者でもあった。本書では、大滝詠一の音楽哲学に関する考察も収められている。

「時空を超えた響き」や「音楽の普遍性」など、大滝詠一の音楽に対する深い洞察が語られ、読者は音楽の持つ可能性と美しさについて再考させられることになるだろう。

音楽愛好家必携の一冊

『大滝詠一レコーディング・ダイアリー Vol.3 1983-1985』は、音楽愛好家にとって必携の書である。大滝詠一というカリスマ的ミュージシャンの創作の秘密に迫り、音楽の持つ力を再認識することができるだろう。

本書は、単なる記録ではなく、時空を超えて響き続ける大滝詠一の音楽へのオマージュだ。大滝詠一の音楽を愛する人、音楽制作に関わる人、そして音楽の真髄を追求するすべての人にとって、かけがえのない一冊となるはずだ。

巻末には、未発表のレコーディング・ノートやディスコグラフィーなどの貴重な資料も収録されている。大滝詠一の歴史的研究の新たな扉を開く、決定版とも言うべき一冊だ。ぜひお見逃しなく!
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