
表題最後の二式大艇 新装版: 海軍飛行艇の記録??歴史の証人となった巨鳥の航跡
第二次世界大戦の戦雲が世界を覆っていた頃、日本海軍は世界最大規模の飛行艇部隊を擁していました。その中でも、二式大艇は傑出した存在でした。長大な航続距離、強力な武装、そして優雅な姿を誇り、「空の巡洋艦」の異名をとったのです。
本書「表題最後の二式大艇」は、この二式大艇の開発、実戦運用、そして戦後の姿を克明に綴った決定版です。著者は、元海軍飛行艇搭乗員で、戦後も二式大艇の調査研究を続けた故・松田源吾氏。同氏の膨大な資料と、関係者からの貴重な証言をもとに、二式大艇のあらゆる側面が余すところなく描かれています。
開発の経緯と独創的な設計
二式大艇の開発は、太平洋戦争の開戦前から始まりました。長距離偵察や哨戒、爆撃など、多様な任務をこなせる飛行艇の必要性を感じた海軍は、三菱重工業にその設計を委託しました。
三菱重工業は、当時最新の技術を駆使して二式大艇を開発しました。その特徴は、まずその巨大なサイズです。全長30メートル、全幅40メートルという巨体で、当時の飛行艇としては比類のないものでした。また、四基の強力なエンジンを搭載しており、最大速度は時速400キロに達しました。
さらに、二式大艇は独特の「全翼型」構造を採用していました。これは、主翼が胴体と完全に一体化したもので、抵抗を低減して効率的な飛行を可能にしました。また、機首には偵察員用の銃塔が設けられ、機尾には強力な20ミリ機銃が装備されていました。
実戦での活躍と悲劇の最期
二式大艇は、太平洋戦争のあらゆる戦線で活躍しました。偵察、哨戒、爆撃、輸送など、幅広い任務でその能力を発揮しました。特に、真珠湾攻撃では、二式大艇がハワイ諸島上空から偵察を実施し、攻撃成功に大きく貢献しました。
しかし、戦争が激化するにつれて、二式大艇もまた多くの犠牲を払いました。アメリカ軍の戦闘機や対空砲火によって撃墜された機体は数多く、乗組員もまた多くの命を落としました。
戦争末期には、二式大艇も特攻攻撃に投入されました。敵艦船に体当たり攻撃を仕掛けて、その最後を遂げた機体もありました。
戦後の行方と貴重な資料
戦争終結後、残存した二式大艇の一部は連合国軍によって接収されました。しかし、大部分は解体処分され、その多くは歴史の闇に消えていきました。
戦後、著者の松田源吾氏は、二式大艇の調査研究に生涯を捧げました。関係者からの証言や資料を集め、その実像を明らかにしようと努めました。本書には、松田氏が収集した貴重な写真や図面、資料が多数掲載されています。
空の巡洋艦の軌跡を辿る
本書「表題最後の二式大艇」は、単なる歴史書ではありません。それは、一機の飛行艇がたどった壮大な軌跡であり、命懸けで任務に当たった乗組員たちの物語でもあります。
本書を読むことで、当時の技術の粋を集めた二式大艇の設計思想や、実戦での活躍、そして悲劇の最期を克明に知ることができます。また、戦後もその姿を追い続けた著者の執念が、歴史の証人を後世に残したことに深い感動を覚えることでしょう。
歴史愛好家、軍事マニア、航空機ファンの皆様はもちろん、戦争の真実を知りたいすべての方に、ぜひおすすめしたい一冊です。壮大な空の物語が、あなたの胸を揺さぶるに違いありません。
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