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表題精神科医として生きる ― 診察室の人間学



精神科医という職業には、薬物を処方したり、対人療法を行ったりといった専門的な側面がある一方で、患者と深く関わる人間的な一面もあります。名著「表題精神科医として生きる」は、この人間的な側面に焦点を当てた一冊です。

著者である香山リカ氏は、現役の精神科医として長年診察室で患者と向き合ってきました。本書では、豊富な経験に基づいた臨床例を交えながら、精神科医として患者と接する上での重要な心構えや、患者が抱える苦しみや葛藤への洞察を語っています。

本書の特徴の一つは、単なるノウハウ伝授ではなく、精神科医という仕事の本質が語られているという点です。香山氏は、精神科医とは単に病気の治療をするだけでなく、患者の苦しみに寄り添い、人間としての成長を助ける存在であるべきだと主張しています。

また、本書では、精神科医が自らの内面に目を向け、自己認識を深めることの重要性が強調されています。患者との関係において、精神科医自身のあり方が大きな影響を及ぼすからです。香山氏は、臨床における自己省察や、スーパービジョン(指導医による指導)の活用について、具体的な事例を挙げて論じています。

さらに、本書では精神科医が抱える葛藤やジレンマについても率直に語られています。例えば、患者の秘密を守る倫理的な責任と、社会的な危害を防ぐ義務との間で揺れる葛藤、あるいは、患者の苦しみを目にすることで精神的に疲弊する「バーンアウト」の問題などが取り上げられています。

香山氏は、精神科医としての仕事にやりがいを感じる一方で、これらの葛藤やジレンマが決して容易ではないことを認めています。しかし、それらを乗り越えることで、精神科医はより深く患者に寄り添い、効果的な治療を提供できるようになるのです。

本書は、精神科医を目指す人や精神保健の分野に興味がある人だけでなく、人間関係に悩んだり、自己探求を深めたいすべての人に役立つ一冊です。精神科医の診察室で行われる心の対話が、私たちの生き方やあり方について改めて考えさせてくれることでしょう。

本書の主な内容

* 精神科医の仕事の本質
* 患者との関係における倫理的配慮
* 精神科医の自己認識の重要性
* スーパービジョンと臨床における自己省察
* 精神科医が抱える葛藤とジレンマ
* 「バーンアウト」と精神科医のメンタルヘルス
* 精神科医を続けるモチベーションとやりがい

本書を手に取るべき理由

本書は、以下のような方におすすめです。

* 精神科医を目指している人
* 精神保健の分野に興味がある人
* 精神科医の仕事についてより深く知りたい人
* 人間関係に悩んでいる人
* 自己探求を深めたい人

本書の著者

香山リカ氏は、精神科医、エッセイスト、評論家として活躍しています。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務。現在は、東京慈恵会医科大学精神神経科教授、日本精神神経学会理事長などを務めています。著書に「精神科医・香山リカの生き方相談室」「香山リカの「心の処方箋」」「リカちゃんのつぶやき」など多数あります。
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