詳しくはこちら

実験医学 2024年3月号:がんと全身性代謝変容



がん悪液質の再定義と早期介入による代謝・免疫の変調へのアプローチ

はじめに

がんは依然として世界中で主要な死因の 1 つであり、予後を改善するための新たな治療法の開発が求められています。近年、がんと全身性代謝変容の関係が注目されており、この分野での研究が急速に進展しています。

代謝変容とがん悪液質

がん悪液質は、進行がんに見られる身体的消耗症候群で、体重減少、食欲不振、筋肉量の減少を特徴とします。従来、がん悪液質は全身性の炎症反応の結果と考えられていましたが、最近の研究では、代謝変容が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

がん細胞は、急速に増殖するために大量のエネルギーを必要とし、この需要を満たすために通常の代謝経路を変更します。この代謝変容により、グルコースやグルタミンの取り込みの増加、脂質の分解の亢進、乳酸の産生の増加などが起こり、全身の代謝環境が変化します。

代謝変容の影響

全身性代謝変容は、がんの進行と予後にさまざまな影響を及ぼします。たとえば、グルコースの取り込みが増加すると、免疫細胞の機能が低下し、がん細胞の増殖が促進されます。また、乳酸の蓄積は、細胞の増殖と遊走を抑制し、腫瘍微小環境に免疫抑制作用をもたらします。

さらに、代謝変容は、骨格筋や脂肪組織の分解を引き起こし、体重減少や筋肉量の減少につながります。この筋肉量の減少は、がん患者の身体機能の低下と生活の質の低下に関連しています。

悪液質の再定義と早期介入

がん悪液質は、全身性代謝変容の影響を考慮して再定義する必要があります。従来の全身性炎症反応による消耗症候群という定義に加えて、代謝変容による免疫の抑制や組織分解も重要な要素であることが認識されています。

この再定義により、がん悪液質の早期発見と介入の重要性が強調されます。代謝変容を標的とした介入により、免疫機能の回復、筋肉量の維持、体重減少の防止を図り、がん患者の予後を改善することが期待できます。

代謝・免疫の変調への早期介入

代謝変容を標的とした早期介入には、以下のようなアプローチがあります。

・食事療法: 特定の栄養素を補充し、代謝経路を調節する食事療法が検討されています。
・運動療法: 筋肉量の維持と代謝機能の改善に役立つ運動療法が推奨されています。
・薬物療法: 免疫細胞の機能を高め、代謝変容を抑制する薬物が開発されています。

本号のハイライト

実験医学 2024年3月号は、がんと全身性代謝変容に関する最新の研究を特集しています。本号には、以下の注目すべき論文が含まれています。

・がん悪液質の代謝的特徴: 最新の知見に基づく、がん悪液質における代謝変容の包括的なレビュー。
・代謝変容に対する免疫細胞の応答: がん細胞の代謝変容が免疫細胞の機能にどのように影響するかを調査した研究。
・代謝・免疫を標的とした早期介入: がん悪液質の進行を防ぐために代謝変容と免疫機能を標的としたアプローチを検討した臨床試験。

まとめ

がんと全身性代謝変容の関連に対する理解は、がん悪液質のマネジメントに革命をもたらしています。代謝変容を標的とした早期介入は、がん患者の予後を改善する上で有望な戦略です。実験医学 2024年3月号は、この重要な分野における最新の研究と洞察を提供し、がんの治療とケアの未来を形作るのに役立ちます。
臨床精神薬理 27巻5号〈特集〉治療抵抗例・難渋例の精神疾患治療Update
同じ月を見あげて ハーモニーで出会った人たち
PNES(心因性非てんかん発作)臨床講義
日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023
新版 分裂病と人類 (UPコレクション)
ケーキ食べてジム行って映画観れば元気になれるって思ってた
メンタルに悩むアスリートに寄り添いケアするための本 競技の緊張、日常の不安・不眠、やる気が出ない、食事面の課題など
【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科に行ってみた!
怒らない100の習慣
発達障害の精神病理 IV-ADHD編
厄介で関わりたくないアルコール依存症患者とどうかかわるか
うつと不安への認知行動療法の統一プロトコル ワークブック 改訂第2版
システマティック臨床精神医学 4つの多元的観点による治療体系化
誰でもわかる 精神医学入門
ルポ 高学歴発達障害 (ちくま新書 1756)
自分の 「好き」 がうつを治す
服薬指導・疑義照会・症例報告に役立つ精神科の手引き
発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)
「うつ病」の再発を防ぐ本: 家族と本人が知っておくべき予防法 (心のお医者さんに聞いてみよう)
人間関係づくりトレ-ニング 無料体験キャンペーン中(オーディオブック)
本の情報館
本の情報館社会政治