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表題償いは済んでいる: 忘れられた戦犯と遺族の歴史



著: 深田肇

出版社: 講談社+アルファ文庫

戦後日本の隠された闇に迫る、衝撃的な歴史ノンフィクション

戦争の悲劇は、終わっても終わらない。表題償いとは、戦争の犯人に責任を取らせること。しかし、戦後日本には、多くの表題償いが果たされていない。

この本は、戦犯とその家族が戦後どのように扱われたか、その知られざる歴史を明らかにする。戦犯の絞首刑や獄中死、戦犯指定による社会からの差別、遺族の苦しみと悲哀が克明に描かれる。

戦犯とは、国際法に違反したとされる者である。しかし、日本の戦争責任は複雑で、全ての戦犯が国際法違反を犯したわけではない。太平洋戦争では、アメリカ兵捕虜の斬首など、多くの残虐行為が行われたが、これらの行為を命令したのは、現場の兵士ではなく、上級将校だった。

本書では、戦犯裁判や戦犯指定の過程で、このような理不尽な裁きが行われていたことを明らかにする。そして、多くの戦犯とその家族が、戦後も差別と偏見にさらされ、苦しい生活を送っていたことを伝える。

戦犯の遺族は、親族が戦犯であるというレッテルを貼られ、社会から疎外された。中には、身元を隠して生きる者もいた。また、戦犯の息子や娘は、就職や結婚で差別を受け、生きづらさを抱えていた。

この本は、戦後日本が直面した歴史的課題を浮き彫りにする。表題償いが行われず、戦犯とその遺族が苦しんだということは、日本の戦後史の大きな負債である。

著者の深田肇氏は、戦争史の研究者として、戦犯やその遺族に長年インタビューを行ってきた。本書には、数多くの証言が収録されており、戦犯とその遺族が直面した苦難がリアルに伝わってくる。

戦犯問題を考えることは、戦争の責任と、戦後処理のあり方について考えることにつながる。本書は、戦争の悲惨さと、歴史の闇に葬られた人々の物語を伝える、必読の一冊である。

こんな方におすすめ:

* 戦後史に興味がある方
* 戦争の責任について考えたい方
* 家族や親族が戦犯だった方
* 歴史ノンフィクションが好きな方

本書の要点:

* 戦後日本における戦犯とその遺族の扱いを明らかにする
* 戦犯裁判や戦犯指定の不合理性を指摘する
* 戦犯とその遺族が戦後も差別と偏見にさらされたことを伝える
* 戦争の責任と戦後処理のあり方について考えさせる
私の見た東京裁判 上 (講談社学術文庫 841)
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覚醒: 撫順戦犯管理所の六年
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声なき声を語り継ぐ: 戦没者遺族50年の証言
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