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表題テロルの昭和史: 戦争と革命の狭間で



磯貝治良の『表題テロルの昭和史』は、昭和史の暗黒面を鮮やかに照らし出す比類なき書である。この講談社現代新書は、テロリズムという手段によって、自身の政治的主張を暴力的に貫こうとした昭和の過激派組織の実態を深く掘り下げている。

## テロリズムの黎明期: 国家の暴力と私的暴力の境界線

本書は、戦後の焼け野原の中で生まれた過激派組織の萌芽から始まる。戦後の占領期は、国家権力が弱体化した時期であり、私的暴力が跋扈した。この混乱の中で、暴力団や右翼団体が政治的影響力を獲得し、日本の治安を脅かした。

そのような中で生まれたのが、赤軍派や連合赤軍といった新左翼組織である。彼らは、戦後日本の民主主義と資本主義体制を否定し、革命を標榜していた。しかし、彼らの手段は暴力であり、テロリズムへと傾倒していく。

## 国家権力との攻防: 弾圧と対抗のスパイラル

新左翼組織の台頭に対抗して、国家権力は厳格な弾圧を行った。警察の取り締まりが強化され、過激派への監視が拡大した。しかし、この弾圧は新たな暴力の連鎖を生み出すことにもなった。

過激派組織は、国家権力からの弾圧に対してテロで応戦した。1971年の三菱重工爆破事件や1972年の連合赤軍によるあさま山荘事件など、昭和史を揺るがすテロ事件が頻発する。

## 理想と狂気の狭間で揺れる若者たち

本書で特筆すべきは、過激派組織に参加した若者たちの心理的背景が深く考察されている点である。彼らは、戦後日本の高度経済成長の下で育ったが、物質的な豊かさとは裏腹に、精神的な空虚さを抱えていた。

そのような若者たちは、過激派組織の理念に共感し、体制への反抗の手段としてテロに手を染めた。しかし、彼らは理想と狂気の狭間で揺れ動き、最終的には破滅へと向かうことになる。

## 歴史から学ぶべき教訓

『表題テロルの昭和史』は、日本の昭和史におけるテロリズムの暗黒面を赤裸々に暴くだけでなく、その背後に潜む社会的な要因や若者たちの心理にも迫っている。過激派組織の動機や行動原理を理解することで、私たちはテロリズムの根源に対する洞察を得ることができる。

さらに、過激派組織と国家権力の攻防の歴史は、現代社会における自由と安全保障のバランスについて考えさせられる。私たちは、テロリズムの脅威に直面しながらも、民主的な価値観を守り抜くことが重要であり、それには、社会的疎外感や経済的不平等の問題に対処する必要があることを認識すべきだ。

## 購入を強く推奨

『表題テロルの昭和史』は、昭和史の理解を深め、テロリズムの根本的な原因を理解したいすべての人に強く推奨される書である。戦後日本の闇の歴史を照射し、現代社会における重要な課題に対する貴重な洞察を提供する、必読の一冊である。
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