詳しくはこちら

日本の分水嶺:悠久の時を経て刻まれた大地の境界線



雄大な尾根線と深々とした渓谷が織りなす日本列島の背骨、それが分水嶺だ。雨や雪解け水は分水嶺を境に太平洋側と日本海側に流れ出し、日本の豊かな自然と文化を育んできた。

分水嶺探訪の決定版『日本の分水嶺』(ヤマケイ文庫)

『日本の分水嶺』(ヤマケイ文庫)は、分水嶺の魅力を余すところなく伝える決定版ガイドブックだ。気鋭の地形学者・海上保さんは、10年以上にわたるフィールドワークで得た膨大な知識と、美しい写真や図表を駆使して、分水嶺の成り立ちや役割を分かりやすく解き明かす。

分水嶺が生み出す日本の多様な自然

分水嶺は、気候、植生、地形に大きな影響を与えている。太平洋側と日本海側の気候差を生み出すのは、分水嶺が湿った海風を遮る役割を果たすからだ。また、分水嶺に沿って形成される急峻な山岳地帯は、独自の生物多様性を育んでいる。

本書では、日本各地の分水嶺をフィールドワークの視点から紹介。尾瀬や立山連峰、白山などの著名な山岳地帯をはじめ、隠れた名峰まで、多岐にわたる分水嶺の魅力が詰まっている。

分水嶺を歩く魅力

分水嶺は、単なる境界線ではない。それ自体が壮大な景観であり、多くの登山者や自然愛好家を惹きつけている。本書では、分水嶺を歩くための推奨ルートを数多く掲載。それぞれのルートは、分水嶺の地形や植生の特徴を考慮して厳選されている。

分水嶺を歩くと、尾根線から見渡す大パノラマや、渓谷に響く水のせせらぎなど、普段は見られない日本の風景を堪能できる。本書は、分水嶺を歩く計画を立てるための必携のガイドとなるだろう。

分水嶺の役割と保全の重要性

分水嶺は、単に自然景観として重要なだけでなく、水資源の保全や災害防止にも重要な役割を果たしている。本書では、分水嶺が果たす多様な生態系サービスについて解説し、その保全の重要性を訴えている。

森林伐採や開発による分水嶺の破壊は、水資源の枯渇、土砂災害の頻発など、深刻な問題につながりかねない。本書は、分水嶺の保全に対する理解を深め、持続可能な社会の構築に貢献することを目指している。

地理学の新たな視点

『日本の分水嶺』は、地理学の分野にも新たな視点をもたらしている。本書で海上氏は、地形学の視点から分水嶺を捉え直し、その成り立ちや変遷について独自の考察を展開している。

従来の地理学では分水嶺は単なる排水系の境界線とされてきたが、本書では、分水嶺が地形進化や地質構造を理解する上で重要な鍵となることが示されている。

あらゆる読者に贈る一冊

『日本の分水嶺』は、登山者、自然愛好家、地理学を学ぶ学生、そして日本の豊かな自然に興味のあるすべての人におすすめの一冊だ。美しい写真や分かりやすい解説で、分水嶺の世界を余すところなく伝える、まさに決定版ガイドブックとなっている。

本書を手にとると、悠久の時を経て刻まれた日本の分水嶺の魅力に魅了され、自然への理解が深まること間違いなしだ。分水嶺という大地の境界線を辿りながら、日本の自然と歴史の壮大な物語に浸ってみてほしい。
みらいみたいなマンガ集2024春夏号
玉川上水 増補: 水と緑と人間の賛歌
水辺を守る: 湿地の保全管理と再生 (シリーズ〈水辺に暮らすSDGs〉 3)
ゴミが降る島: 香川・豊島産廃との20年戦争
肉食の終わり:非動物性食品システム実現へのロードマップ
奇跡のシンプルライフ?本当の幸せを手に入れた実話に基づくストーリー (乳がん奇跡と再生)
砂浜海岸の自然と保全
データで読み解く日本の真実 (エイムック 4614)
科学がとらえた格差と分断 持続可能な社会への処方箋 (別冊日経サイエンス249)
フィンランド 虚像の森
神さまに愛される引き寄せの習慣
生物学者、地球を行く?まだ知らない生きものを調べに、深海から宇宙まで
ざっくりわかるSDGs: 2030年までになんとかしたい17の地球規模の重要課題
地球と一緒に頭も冷やせ!
暇と退屈の倫理学 (新潮文庫)
哲学史入門I: 古代ギリシアからルネサンスまで (1) (NHK出版新書 718)
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です
武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 (角川文庫)
親子で哲学対話~10分からはじめる「本質を考える」レッスン 無料体験キャンペーン中(オーディオブック)
本の情報館
本の情報館社会政治