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ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針 (ちくま新書)

ウィリアム・アダムス:家康に愛された男、三浦按針

[ちくま新書] おすすめの一冊

日本史上、ひときわ異彩を放つ人物として名高いウィリアム・アダムス。イギリス人航海士として日本に漂着し、徳川家康の厚い信頼を得て、三浦按針の名で知られるようになった男だ。

このちくま新書『ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針』は、アダムスの生涯と思想を丹念に追究した待望の評伝である。著者は、歴史学者・放送作家として活躍する磯田道史氏。歴史上の人物を生き生きと描き出す筆致に定評があり、本作でもアダムスの知られざる素顔を浮かび上がらせている。

航海士から家康の外交顧問へ

アダムスは1564年、イギリスに生まれた。幼少期から航海に憧れ、12歳で航海士の徒弟となる。その後、スペインの無敵艦隊との戦いに参加し、東インド諸国への航海を経験した。

1600年、アダムスはオランダ東インド会社に雇われ、香辛料を求めてモルッカ諸島へ向かう航海に出た。しかし、航海は遭難し、一行は豊後に漂着した。

当時は、日本が鎖国体制へと移行しつつある過渡期であった。アダムス一行は厳しい警戒のもと置かれていたが、アダムスの造船技術と軍事知識が家康の目に留まった。家康はアダムスを外交顧問に任命し、日本と海外諸国との架け橋として重用した。

家康との親密な関係

アダムスは家康と深い信頼関係を築いた。家康はアダムスの知識を高く評価し、度々彼に相談を持ちかけた。また、アダムスも家康を尊敬し、日本文化を積極的に学んでいった。

本作では、アダムスと家康の親密な関係が克明に描かれている。アダムスが家康の命により、江戸城の建設に関わったことや、家康の側近として朝鮮使節との交渉にあたったことなどが詳細に語られている。

異文化交流のパイオニア

アダムスは、日本と西洋の文化交流においても重要な役割を果たした。彼は、日本に西洋の造船技術や測量技術を伝え、日本人の海外への眼を開かせた。また、日本の文化や社会を海外に紹介し、東西の相互理解に貢献した。

本作では、アダムスの異文化交流に対する功績が丁寧に論じられている。アダムスの残した記録や書簡を丹念に分析し、彼が当時の日欧関係に与えた影響を明らかにしている。

複雑で魅力的な人物

ウィリアム・アダムスは、複雑で魅力的な人物であった。野心家でありながら人間味にあふれ、異文化に柔軟に対応する能力を備えていた。本作は、そんなアダムスの知られざる一面を鮮やかに照らし出す。

歴史ファンはもちろん、人物評伝や異文化交流に興味のある読者にもぜひおすすめしたい一冊だ。アダムスの波瀾万丈の生涯と、彼が残した功績が、深く心に刻まれるだろう。

おすすめポイント

* 磯田道史氏による、歴史上の人物を生き生きと描く筆致
* アダムスの生涯と思想を丹念に追究した評伝
* アダムスと家康の親密な関係を克明に描写
* 異文化交流におけるアダムスの功績を丁寧に論じる
* 歴史ファン、人物評伝、異文化交流に興味のある読者に強くおすすめ
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