
平安貴族の華やかな表の顔と、隠された闇
平安時代、きらびやかな王朝文化が花開いた時代です。紫式部の「源氏物語」など、優雅で風雅な貴族的文化が想起されます。しかし、その華麗な表層の下では、醜くドロドロとした人間模様が渦巻いていたのです。
表題わるい平安貴族
本書『表題わるい平安貴族 殺人、横領、恫喝…雅じゃない彼らの裏の顔』(PHP文庫)は、平安時代の貴族たちの陰湿な実態を暴き出した、衝撃的なノンフィクションです。
著者である吉村武矩氏は、歴史学の大家です。膨大な資料を精査し、平安貴族の表と裏を丹念に掘り起こしています。
華麗なる表の顔
平安貴族は、天皇を中心とした厳格な身分制度のもとで暮らしていました。最も位の高い公卿から、地方に下った末端の官人まで、階層は厳格に定められていました。
公卿は、天皇に近侍し、華美な衣服を身にまとい、優雅な和歌を詠み交わしました。彼らは、貴族としてのプライドと権威を重んじ、自らの地位を誇示するのに余念がありませんでした。
破廉恥な裏の顔
しかし、この華麗な表の顔とは裏腹に、平安貴族の中には醜聞にまみれた者も少なくありませんでした。
彼らは、権力を笠に着て、弱者に対して横領、恫喝、さらには殺人を犯していました。例えば、藤原道長は、権力を誇示するために、腹違いの兄である藤原伊周を謀殺したとされています。
また、藤原頼通は、横領や恫喝を繰り返して富を蓄え、権勢を固めました。彼の横暴ぶりは、当時の人々から「頼通殿の世」と恐れられていました。
雅ではない彼らの姿
本書は、平安貴族のこうした醜聞や暗部を、克明に描き出しています。吉村氏の歴史学的考察に基づく記述は、当時の貴族たちの破廉恥な実態を容赦なく暴き立てています。
優雅で風雅なイメージとはかけ離れた、貴族たちの卑劣で醜悪な姿に、読者は衝撃を受けることでしょう。平安時代の王朝文化の真の姿を理解する上で、本書は欠かせない一冊です。
平安時代を知る、必読書
『表題わるい平安貴族』は、平安時代史に興味のある方だけでなく、歴史愛好家や、人間心理に興味のある方にもおすすめです。
平安貴族の雅やかなイメージに隠された、人間の闇と醜さをあぶり出した本書は、平安時代を知る上で必読書と言えるでしょう。
この本を手に取り、平安貴族たちの華麗なる表の顔と、隠された闇を垣間見てみませんか。きっと、歴史への理解がより深まり、人間の複雑さを再認識できるはずです。
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